20100117

神戸の鉄人


昨年夏、奇しくも同じ時期に東はお台場のガンダム、西は神戸の鉄人28号と アニメ・漫画の主人公である18mのロボットが出現しました。お台場のガンダムは当初から期間限定で、夏休みの終わりには解体されて今はもうありません。対して西の神戸の鉄人は今でもまだ立っています。

以前他のデザイナーの方と話していた時にこの鉄人の話題になったのですが、小さい子供たちにとっては鉄人28号というキャラクターがそもそもなじみの薄いもので、実物を見たときにその大きさには驚くけれど、お台場のガンダムほどはピンと来ないようだとのことでした。

出現から半年以上経った、阪神淡路大震災15周年の今日、その鉄人を見に行ってみました。
日曜日で、震災のメモリアルイベントが最寄りの新長田駅前で開かれていたこともあってか、鉄人の設置されている公園もなかなかの賑わいです。見ているとカップルや親子連れ、友達同士で訪れている人たちの他におじいちゃんが孫たちを連れてきている姿も多く、ちっちゃい孫たちが満面の笑顔で鉄人と同じポーズをとり、おじいちゃんがそれを写真に収めるという微笑ましい光景も見られました。


実は当初この神戸鉄人プロジェクトの話を聞いたときには、有名なキャラクターに頼った集客という手法が、(鉄人の作者が神戸ゆかりの横山光輝先生である事を承知の上でも)もう一つ受け入れ難かったのですが、
 完成後の周囲の反応→「実は子供たちにとっては馴染みが薄い」
 今日見た子供たち→「昔から知っているキャラクターとしてではなく、新しいものとして純粋に受けとめている」
と、二重に予想を裏切られた結果、これはこれで良かったのだなと思うに至りました。

特に子供たちの笑顔を見ていて素晴らしいなと思ったのですが、仮面ライダーやウルトラマンと違い、今の子供たちはリアルタイムにメディアを通して鉄人28号というキャラクターを知っているわけではないにも関わらず、彼ら、彼女らはそこにある18メートルのロボットに驚き、感動し、受け止めています。

歳をとっていろんなことを知った気になったオッサンが、馴染みの無いものを見たり、初めての人に出会った時に「こんなもん知らんわ」「あんたなんか知らん」とシニカルな態度をとるのを見ると興冷めしますが、知らなかったものを知ることが出来た、初めての人と知り合うことが出来た、と喜ぶ事ができる心を持った人は、自分自身だけでなく周囲の人や、取り巻く社会をも幸せにできるような気がします。


そんな事を思いつつ帰り際にもう一度振り返ってみた鉄人28号。
棒立ちだったお台場のガンダムと違って、力強いポーズの神戸の鉄人には神戸市民の思いがこもっているようで、

なかなかええやないの。

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