20090123

「純粋なる形象 - ディーター・ラムスの時代」展

 ほぼ会期も終わりに近づいていますが、現在サントリーミュージアム(天保山)において「純粋なる形象 - ディーター・ラムスの時代」と銘打った展覧会が開催されています。

ブラウン社におけるラムス氏の仕事を中心に同時代の他社製品なども展示されており、バウハウスからウルム造形大へと連なる機能主義的モダンデザインの軌跡が一堂に集められた、非常に良く構成された展覧会です。

最初期の作品のひとつとして展示されていた「白雪姫の柩」と称されるオーディオSK-4から、10年以上の時を経てデザインされたオーディオ300まで、時代が変わって素材や機構が進化しても、そのデザイン思想は揺るぐこと無く一貫性を保っていることが確認できます。ブラウン社のブランドアイデンティティは製品デザイン抜きに語ることはできませんが、明快で力強いデザイン言語の獲得に、ラムス始めデザイナーたちが尽力し続けたことがうかがい知れます。


私個人にとっては、デザインを志すようになった頃の気持ちを思い出させてくれるような、改めて勇気を与えられたようなそんな展覧会でした。


会場で販売していたカタログは、一展覧会の図録というレベルを遥かに超えた、内容の濃い、資料価値の高いものであることも付け加えておきます。

20081101

灯台にもLED

 本日11月1日は「灯台の日」ということで、全国で灯台の一般公開が行われていたようです。内部まで見せてもらえる機会はそうそうないので、行くべし!ということで神戸から手軽に行けるレトロ灯台、淡路島の江埼燈台へ行ってきました。

 明治4年に建造されたこの灯台は今なお現役で、阪神淡路大震災では基部の石組みがずれるほどの衝撃を受けながらも自家発電で稼働し続けたそうです。


これはフレネルレンズ。人の背丈よりも高いこのレンズを通して、内部の400wの光源が水平に、35km(!)の彼方まで届けられます。ピカピカに磨かれたレンズはやや飴色がかっていて何とも言えないレトロ感があります。


さてこのレトロな江崎燈台の背後の山の山頂には近代的な大阪湾海上交通センターがあり、ここも一般公開されているということで見に行ってみたのですが、そこに展示されていたのがLEDの灯台光源ユニット。これは江崎燈台のような大規模な灯台に使われるものではなく、小規模な灯台に使われるもの。このユニットそのものが外部に露出した状態で設置されます。光達距離も2マイル(海上の1マイルは1852メートルとのこと)程度。小型なのでレンズもフレネルレンズにする必要がなく、普通の凸レンズがリング状に光源の周りを取り囲んでいます。後ろの壁に緑色の光が水平に映っていますね。


内側にはLEDがビッシリです。
面白いものを見てきました。

20081012

電気自動車に乗って思ったこと

 やや旧い写真ですがこのblogではまだ書いていなかった話題を一つ。

 この写真は日産のハイパーミニという電気自動車です。




数年前まであるカーシェアリングのサービスに供用されており、横浜で事務所を構えていた頃、日常の足としてよく利用しました。カーシェアリングのサービスが横浜みなとみらい地区で始まったのは21世紀に入って間もない頃で、21世紀と言っても別にたいしたことは無いな〜といささか拍子抜けしていた私にとっては、日常的に電気自動車に乗るという経験は多少なりとも子供のころにイメージしていた未来に自分が今いることを実感させるものでした。

カーシェアリングのシステムについてはまた別の機会に書くとして、今日は電気自動車に乗ったときに思ったこと。

このハイパーミニという車はハイブリッド車ではなく、正真正銘の電気自動車。本拠地の駐車場に戻って車を返却するときには必ずそこに据え付けられた充電スタンドから充電用のプラグを車の正面についているソケット(日産のマークの部分がフタ)にガッシャンと差し込んで充電します。モーター駆動で、発進と同時に最大トルクをかけられるため加速もよく、軽量なためブレーキもよく効き、機敏でおもしろい車でした。仕事で使う上では、お客様の送り迎えに使うとすごくウケるという効果もあります。
…ただし二人乗りなのでお客様を一人しか乗せられませんが。

さてこの電気自動車。内燃機関のガソリンエンジンを積んでいないので極めて静かです。走行中に聞こえる音はほとんどロードノイズのみ。では排ガスも出ないし騒音も無いし、良いことばかりかと言うと実はそうでもなく、

静かすぎて危ないのです。

特に歩道のない狭い道路に乗り入れるときには普段以上に細心の注意が必要でした。電気自動車を自分で運転してみて改めて実感しましたが、歩行者は後ろから近づいてくる車の音に反応してよけてくれているものです。しかし夜間ならヘッドライトを点灯しているからまだしも、日中で周囲の騒音も大きいような状況では、電気自動車は静粛であるが故に、後ろから近づいても気づいてくれないことが多々ありました。

このハイパーミニという車が発売されたのはもう10年程前のことですから、現在では研究も進んでこれらの問題にも様々な対処がなされていることでしょう。残念ながら私は新しい世代の電気自動車を運転する機会にまだ恵まれていませんが。

20081008

ものづくり企業とデザイナーのマッチング/東京都の場合(1)

先日東京に行って参りました。目的は11月末に開催される東京デザインマーケットの出展者説明会への参加です。





「東京デザインマーケット」は東京都主催、日本産業デザイン振興会(JIDPO)受託・運営によるイベントで、東京ビッグサイトで開かれる産業交流展の会場の一部を使って開催されます。デザイナー/デザイン会社は未発表のオリジナルデザインを展示し、これを生産・販売に結びつけるためのビジネスパートナーを探すという立場で出展しますが、実際は過去の仕事の紹介や通常の営業ツールを使った営業活動も認められており、いろんなデザイナー/デザイン会社を見る事の出来る「デザイナーの見本市」的な性格を有するものです。

今年で5回目の開催。出展には事前審査があり、今年は約170件の提案応募から30件が選ばれたとのこと。 わざわざ神戸から出展するやつなんかいてへんやろ〜と思っていましたが、もっと遠いところから出展する方もいるようでした。東京都が主催でありながら、他地域からの参加を広く認めている事からも見てとれるように、都内の中小企業のものづくりを、日本全国の「デザイン力」で向上させるためのマッチングの場の提供こそが、このイベントの骨子であるようです。

規約上、ここに展示するデザイン案はある期間一般に公開することが出来ないため、写真等をお見せできないのが残念なのですが…。イベント終了まで、数回に渡ってレポートしてきたいと思います。大阪のビジネスマッチングブログで東京の話題を書くのもちょっと場違いですが、「あっち(東京)ではこんなことやっとる」という、参考にでもなれば幸いです。


ちなみに私が出展する案は、やりようによっては特別な技術も必要とせず、既存の技術だけで生産できそうなほんとに何でもないもので、ユーザーあるいはそのユーザーを見た人が日常的にちょっとニヤッと笑えるようなモノ。展示用の試作をどう作るかなあ、と現在思案中です。

20080908

ヘラ絞り体験!

今日は株式会社メルフの須川さんのご紹介で、ヘラ絞りの吉持製作所さんにお邪魔しました。

ヘラ絞りについては以前からデザイナー仲間に「あれは面白い」という話を聞いてはいたのですが、実際に工場を見せていただく機会に恵まれず、いつか見てみたいと思っていました。今回須川さんからお誘いがあったのを渡りに船とばかりに「絶対行く!」と即答したのでした。


 

こういう場所は職人さんの聖域だと思っているのでいつも一歩引いて見ているのですが、内心はもんんんのすごいやってみたいのです。そこへ吉持社長の「やってみます?」の一言。やらいでか!とばかりに体験させていただきました。

ついさっきまでただの丸い板やったのに、自分が力を入れてヘラでしごくことによってどんどん姿を変えて行くという、この身体体験。最近はPCの画面に向かってCADを使う時間が増えてしまっていますが、大げさな言い方をするとやはり自分は実体を持ったモノづくりが好きな人間なんだと再確認しました。

結局ヘラ絞りを2回体験させていただき、2回目は表面を滑らかにする処理までやらせてもらいました。1回目の方は最後の仕上げまでしていないので表面が荒いままなのですが、これが面白い。というのは、当然私はヘラ絞り未経験のド素人なのでうまくいかずに失敗してるのですが、自分がどういう力の入れ方をした結果、どういう仕上がりに成ったというのが、製品にくっきり痕跡として残っていて、「いろんな失敗のサンプル帳」状態なのです。これはためになる!

吉持さんの過去のお仕事なども見せていただきましたが、「えっ、こんなものまで絞りで出来るの?」という驚き。まさに目からウロコです。

またプレスに比べれば型代が格段に安いことから、小ロット生産やデザインサンプルの作成には特にアドバンテージがあることも教えていただき、いろいろとイメージが広がりました。

すごくいい刺激をいただいた一日でした。

吉持さん、そして須川さん、ありがとうございました。